研究課題
RhoファミリーG蛋白TC10の活性化を調べるためのFRETを利用したプローブを作成し、活性化イメージングを行った。まず、TC10の抗体を作成し、TC10の細胞内局在を調べたところ、TC10はリサイクリングエンドソーム上と細胞形質膜に存在することが分かった。さらに、FRETプローブで観察するとこのエンドソーム上でTC10は高い活性を有することが明らかになった。リサイクリングエンドソームは、細胞膜近傍へと輸送され膜へ繋留された後に、細胞膜と融合する。この過程におけるTC10の活性変化を観察するために、全反射蛍光顕微鏡を用いてFRETプローブを観察した。その結果、膜融合が起きる直前0.2秒以内にTC10上のGTP/GDP比が急激に低下することがわかった。この結果はTC10上のGTPの水解が小胞と形質膜との融合の引き金を引いている可能性を強く示唆する。そこで、TC10に対するGAP活性を有しているpl90RhoGAPを発現させたところ、EGF依存性の小胞の水解が顕著に低下した。このことは、TC10上のGTPの水解が、小胞膜の形質膜との融合に必要であることを示している。さらに我々はEGF依存性にSrcが活性化され、p120GAPを介してp190RhoGAPが活性化されることを見出した。これらの結果は、EGFがSrcとp190RhoGAPを介して、エンドソームの形質膜への融合を制御していることを示している。
すべて 2006
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Dev. Cell 11
ページ: 411-421