研究課題
CAF-1及びASF1は酵母からヒトに至る広汎な生物種で保存された特殊なヒストン結合蛋白で、DNA複製にカップルしたヌクレオソーム形成反応に関与することが推定されている。我々は、CAF-1及びASF1のノックアウトチキンDT40細胞株を解析することで、CAF-1及びASFIが、同ヌクレオソーム形成反応に関与ことを示す直接的な証拠を示した。また、CAF-1及びASF1を欠損した状態の細胞ではS期の進行が遅延し、特にCAF-1が欠損した細胞では、S期チェックポイント(Chk1)の活性化障害が観察されることを示した(MBC,2007;JBC,2006)。さらに、高等植物シロイヌナズナのCAF-1ホモログの変異株の解析により、通常発現が抑制されている様々な遺伝子が、偶発的かつ低頻度に脱抑制されることを示した(Genes Cells,2006)。このことは、CAF-1或はDNA複製にカップルしたヌクレオソーム形成反応が、遺伝子発現を左右するクロマチン情報の維持・安定性に寄与するという我々のモデル(Cell,2001)を強く支持する結果であった。DDM1は、高等植物からヒトに至る広汎な生物種で保存された因子で、SWI/SNF型のATPase依存性モチーフを有し、その変異高等植物やマウスでは、DNAメチル化の著しい低下が観察される。当初我々は、DDM1蛋白複合体の精製を試みたが、様々な試行錯誤にも関わらず難航している。そこでアプローチを加え、DDM1の機能を細胞レベルで検証することを念頭に、誘導型のDDM1発現消失ヒト細胞株を作製した。その過程で、「人為的遺伝子発現誘導」及び「ジーンターゲティング」に関する二つの工夫を知財化することができた(特願2006,2007)。この副次的な成果は非常に有用で、今後広汎な学術領域で活用される可能性が高い。
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