研究課題/領域番号 |
16390094
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
吉野 健一 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (90280792)
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研究分担者 |
大城 紀子 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (70372662)
吉川 潮 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (40150354)
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キーワード | mTOR / ラパマイシン / アミノ酸 / 細胞成長 / PRAS40 / リン酸化 / raptor / mTOR複合体 |
研究概要 |
T細胞増殖抑制剤、再狭窄抑制剤、抗癌剤としての薬効が臨床応用されている薬剤ラパマイシンの哺乳動物細胞内の標的タンパク質がmammalian Target of Rapamycin(mTOR)である。近年、臓器移植後の免疫抑制剤(T細胞増殖抑制剤)として長期投与されているケースにおいて、血小板減少、創傷治癒の遅延、血中中性脂肪濃度の上昇という副作用が報告され始めた。本研究はmTORを介した細胞システムの分子機構を解明することによって、ラパマイシンの副作用が惹起されるメカニズムを明らかにすることを目的としている。 薬効および、既知の副作用のうち血小板減少および創傷治癒の遅延は、mTORの制御する細胞成長がラパマイシンによって抑制されることに起因することが示唆されてはいるが、この分子メカニズムに関する直接的な知見は少なく、本年度も引き続き、mTORを介した様々なメカニズム関与する分子の探索を行った。その結果、mTORと相互作用する分子として、新規にproline-rich Akt/PKB substrate 40kDa(PRAS40)を見出した。 mTORおよびmTOR複合体1の構成メンバーであり、この複合体の機能に重要な役割を担っている分子raptorとPRAS40とが結合すること、およびmTORによってPRAS40がリン酸化されることを見出した。mTORがリン酸化する基質としては4EBP1やp70 S6Kに続く発見である。この分子がmTOR経路に深く関わっていることが見出されたことにより、mTORを介した新規な情報伝達経路が解明され、血小板減少、創傷治癒の遅延、血中中性脂肪濃度の上昇といったラパマイシンの副作用の分子機構解明を導く知見が得られたと思われる。
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