平成17年度はこれまでの研究結果を踏まえて、癌細胞の発生、増殖等にかかわりヒト癌細胞内で新規薬剤等の治療標的となる癌関連分子(標的分子)の探索を重点的におこなうとともに、あわせて新規薬剤探索法開発のためのモデル実験系の構築に向けた予備検討と各種遺伝子導入、組み換え法を用いた遺伝子安定発現細胞作製技術の各種細胞株への適用を念頭においた検討をおこなった。 1.高頻度に癌で機能異常を示し癌細胞増殖の促進等に関わる候補標的分子の探索: (1)候補標的分子の詳細なvalidationに必要な癌および正常臓器サンプル(細胞、組織、体液検体)の収集を継続しておこなった。 (2)呼吸器・消化器癌細胞のcDNAマイクロアレイ等による遺伝子発現プロファイル解析および遺伝子変異解析にもとづいた候補標的分子群の抽出を試みた。 (3)候補標的分子群の癌および正常臓器サンプルでのRNAの発現上昇・低下の確認をおこなった。 (4)複数の候補標的分子について免疫組織染色等によるタンパク発現を検討した。 2.新規薬剤・治療法開発のためのモデル実験系の構築に向けた検討: (1)複数の候補標的分子についてRNA干渉法による発現阻害、遺伝子導入実験を各種細胞株で施行し、その細胞増殖への関与を中心に検討した。 (2)複数の候補標的分子について細胞内動態のモニタリングをおこなった。 (3)候補標的分子機能のin vitro/in vivo再現系構築に必要となる移植細胞株を調査、検討した。
|