研究代表者・松本直通は、平成16年度〜平成17年度科学研究費補助金「基盤研究(B)(2)」の補助のもと、「ヒトの発生・精神神経発達異常と染色体微細構造異常に関する研究」の課題(課題番号16390101)で、自身で開発したBAC2173個からなる2.1KBACマイクロアレーを用いて、特発性精神発達遅滞(MR)、ならびにMRを呈する歌舞伎メーキャップ症候群、さらに自然流産物のゲノムにおける微細構造異常解析を行い、これらヒト発生・および精神発達障害におけるゲノム異常の遺伝的寄与度を明らかにした。さらにマイクロアレーやFISHを用いてソトス症候群、inv dup del(8p)、9qテロメア欠失症候群のゲノム構造異常を詳細に解析し、ソトス症候群とinv dup del(8p)においてはゲノム病としての特徴を明らかにし欠失を含む染色体異常を惹起するメカニズムを明らかにした。また9qテロメア欠失症候群においては症例を集積し、確証例における欠失の最小共通領域を明らかにし、本疾患の責任遺伝子の候補を8個に限定した。本研究のもう一つの柱は新しいマイクロアレープラットフォームの開発であった。ゲノム微細構造異常を同定する精度を向上させるため、新たにBACを追加、FISHによる検証を行い、高精度のBACマイクロアレーの開発と作製を行った。この新しいアレーはヒト疾患ゲノム解析において極めて有力な解析の起爆剤となることが期待され、本研究の達成した成果である。
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