研究概要 |
(1)CD30過剰発現機構の解析:CD30過剰発現を示す腫瘍細胞で認められるJunBの発現が、CD30-ras-MAPK経路の活性化による事を始めて明らかにした(Cancer Res 65:7628,2005)。 (2)ATL細胞の遺伝子プロファイル解析:ATL検体のアレイ解析の結果、過剰発現を示す20遺伝子を用いて定量real time PCRを用いて発現量検討を行っている。一部の遺伝子を用いた解析では、末梢血中のATL細胞を高感度かつ特異的に検出可能である事を示した(平成17年癌学会総会にて発表)。 (3)NF-kB標的遺伝子の解析:構成的NF-kB活性化の見られる腫瘍細胞株を用いて、NF-kB阻害の有無による遺伝子発現の変化をCodeLink systemで解析した。1000以上の遺伝子が2倍以上の発現レベルの変化を示す事、およびpro-apoptotic遺伝子と、anti-apoptotic遺伝子のがそれぞれ発現更新と抑制を示すことが確認された。また、多くの未知のNF-kB標的遺伝子遺伝子が明らかになった。 (4)NF-kB阻害剤による治療法の基礎研究:ATL、CLLおよびHodgkinリンパ腫に対するDHMEQの抗腫瘍作用をin vitroおよびanimal modelで解析した。ALTにおいては、ATL細胞に対する抗腫瘍作用のみならず非腫瘍化HTLV-1感染細胞をも標的として選択的に排除する事を見いだした(BLOOD106,2642,2005)。CLLに対しては同様にアポトーシスを誘導し抗腫瘍作用を示すが、さらにfludarabineと併用することでNF-kBの活性化を抑制して効果を増強する事を見いだした(Leukemia, in press)。Hodgkinリンパ腫についても有効性を確認した(Cancer Res、投稿中)。
|