研究課題/領域番号 |
16390107
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
佐々木 功典 山口大学, 医学部, 教授 (80116722)
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研究分担者 |
河内 茂人 山口大学, 医学部, 講師 (80284511)
小賀 厚徳 山口大学, 医学部, 助手 (90243633)
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キーワード | 半導体ナノ粒子 / サイトメトリー / 蛍光免疫染色 / バイオイメージング / stoichiometry |
研究概要 |
ポストシークエンス時代を迎えて、医学生物学研究の主眼は遺伝子産物の機能解析へと移ってきており、蛍光物質、GFP等の蛍光蛋白を用いた細胞内での物質相互作用を解析するバイオイメージング技術が必要とされている。そのためには同時に複数の分子を可視化することが必要であり、それに応じることができる新しい蛍光物質として半導体ナノ粒子(quantum dots,以下QD)が注目されている。本助成研究では、このQDを用いた網羅的細胞情報解析システムの開発を試みている。 QDを用いた細胞情報解析システムの開発のためには、まずQDを利用した細胞内物質の蛍光免疫染色が必要である。既にQDをラベリングした2次抗体などは市販されており、これを利用すれば従来の蛍光色素と同様の方法で免疫染色が可能であると当初は考えていた。しかしながら細胞質内、核内に存在する主要な遺伝子産物について蛍光免疫染色を行ったところ、いくつかの遺伝子産物に関しては従来の蛍光色素と同様の染色結果を得ることができなかった。特に核内物質に関しては、QDではその染色性が有意に低下していた。この理由としてQDの粒子径が従来の蛍光物質と比較して大きいため、核内へのQDの移行が困難である可能性が考えられた。そこで、マイクロウェーブ処理を行う、界面活性剤で細胞を処理するなどのQDの核内への移行性を高める操作を加えてみたところ、既存蛍光物質と同様の染色結果を得ることができた。この様に、QDを用いた蛍光免疫染色法は対象物質によっては工夫が必要であることが確認され、複数物質の同時解析のためには、まずより多数の細胞内物質について至適条件の検討が必要であると考えられた。
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