研究課題
基盤研究(B)
ヒト下垂体におけるαSU発現機構、及びαSU単独の作用については十分に解明されていない。本研究はαSU発…現機構の解明、及びαSUの機能の解明を目的とした。過去2年度の成果を踏まえ、研究を継続し、さらに本年度は、Crisponiらにより2001年にクローニングされて、αSU発現との関連が示唆されているFOXL2を中心に研究を遂行した。ヒト正常下垂体及び下垂体腺腫におけるFOXL2の発現局在を免疫組織化学から、FOXL2タンパク質発現量をウエスタンブロッティング法から検討し、腫瘍組織の形態もしくは機能分化パターンとの関係を解析した。1 ヒト正常下垂体におけるFOXL2発現ヒト正常下垂体2例につき特異抗体によるFOXL2と各下垂体ホルモンの免疫二重染色を行った。約20%の正常下垂体前葉細胞がFOXL2陽性を呈し、その多くはゴナドトロピン産生細胞の細胞核に確認された。2 ヒト下垂体腺腫におけるFOXL2発現ヒト下垂体腺腫66例について、特異抗体によるFOXL2免疫染色を行った。ゴナドトロピン産生細胞を起因として考えられるゴナドトロピン陽性腺腫及びホルモン陰性のNullce11腺腫の多くの症例に、FOXL2発現が確認された。また、ウエスタンブロッティングによるFOXL2定量解析においては免疫組織化学によるFOXL2陽性率に非常に良く相関したバンドを検出した。ヒト正常下垂体FOXL2陽性細胞は、ゴナドトロピン陽性細胞に共存した。TSH産生細胞は、ゴナドトロピン産生細胞と同様にαGSU陽性細胞であるが、FOXL2発現は殆ど確認されなかった。腺腫においてFOXL2は、殆どのゴナドトロピン産生腺腫に陽性であったことから、ヒト下垂体においてFOXL2は、ゴナドトロピン産生細胞特異的に発現することが明らかとなった。
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