皮膚組織は表皮と真皮に分けられ、両方に樹状細胞群の細胞は存在している。前者の細胞はランゲルハンス細胞、後者の細胞は真皮樹状細胞として区別されている。申請者等の予備的研究から真皮のMHC class II+細胞にはCD11bの発現を指標に2種の細胞群が存在することが明らかである。そこで、FITCにより誘導される接触過敏応答におけるこれら皮膚に存在する樹状細胞サブセットについて、それらの表現型と機能を検討した。 その結果、これまでに報告されているように感作原塗布24-48時間後にFITC陽性の樹状細胞が所属リンパ節に認められたが、これらはMHCクラスIIや補助刺激分子の発現強度には大きな違いは認められなかった。しかし、CD11cとCD11bの発現によりCD11c^<hi> CD11b^<hi>とCD11c^<int> CD11b^<int>の2つの集団からなることが示された。FITC陽性細胞は塗布後数時間で耳殻を切除した場合には認められないことから、これらの集団が既にリンパ節に樹状細胞ではないことは明らかである。次に、ランゲルハンス細胞特異的なCD207(Langerin)の発現を指標にこれらの集団間の差異を検討したところ、後者の集団が更に2つに分けられることが明らかとなった。そこで、真皮より樹状細胞を調製してそれらについても同様の検討を行ったところ、真皮樹状細胞は定常状態においてもCD11c^<hi>CD11b^<hi>とCD11c^<int>CD11b^<int>の2つの集団から構成されていることが示された。このように所属リンパ節へと移動してきた樹状細胞サブセットのうち、表皮ランゲルハンス細胞に由来すると考えられる集団が比較的長時間生存することも明らかになった。
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