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2004 年度 実績報告書

マラリア原虫はいかにして媒介蚊の標的器官に侵入するのか

研究課題

研究課題/領域番号 16390124
研究種目

基盤研究(B)

研究機関三重大学

研究代表者

油田 正夫  三重大学, 医学部, 助手 (90293779)

キーワードマラリア / ハマダラ蚊 / 中腸 / パーホリン
研究概要

マラリアは毎年2-4億人の感染者と100-300万人の死者を出す、もっとも重要な感染症である。マラリア原虫は、蚊の吸血を介してヒトからヒトへと伝播される。マラリアの感染率を下げ、最終的に根絶するためには、蚊による媒介を阻止する有効な方策の開発が必要である。マラリア感染阻止の新たな標的を探索するため、マラリアオオキネートのハマダラ蚊中腸への感染に関わる分子の候補を、ESTデータベースから選定した。オオキネートの中腸侵入に関わる分子の多くは、血液感染ステージからオオキネートへとdevelopするさいに合成が開始されるため、両ステージでのEST数を比較することで同定した。このうちMAOPと命名した分子は、パーホリン様構造を持つ分子であった。我々は、マラリア遺伝子ノックアウト法を用いることで、この分子が、オオキネートがハマダラ蚊中腸へ感染するのに必須の分子であることを証明した。さらにノックアウト原虫の表現型を解析し、MAOPがオオキネートが中腸細胞膜を破壊し中腸細胞内部に侵入するのに必須の蛋白であることを証明した。またMAOPの相同分子(SPECT2と命名)が、肝臓感染能を持つスポロゾイトのステージに発現していることを発見した。同様にマラリア遺伝子ノックアウト法を用いることで、この分子が肝臓感染に重要な働きを持っていることを明らかにした。さらに、表現型を解析することで、SPECT2が肝類洞細胞の細胞膜を破壊し、肝臓に侵入するために必須の蛋白であることを証明した。以上の成果により、マラリア原虫のハマダラ蚊への感染とヒトの肝臓への感染機構が共通の分子基盤を持つことを初めて明らかにした。これらの分子を標的とすることで、今後マラリアの伝播を阻止する新たな感染阻止法を開発できる可能性がある。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] A Plasmodium sporozoite protein with a membrane attack complex domain is required for breaching the liver sinusoidal cell layer prior to hepatocyte infection2005

    • 著者名/発表者名
      Tomoko Ishino, Yasuo Chinzei, Masao Yuda
    • 雑誌名

      Cellular Microbiology 7-2

      ページ: 199-208

  • [雑誌論文] Essential role of membrane-attack protein in malarial transmission to mosquito host2004

    • 著者名/発表者名
      Kimie Kadota, Tomoko Ishino, Takahiro Matsuyama, Yasuo Chinzei, Masao Yuda
    • 雑誌名

      PNAS 101-46

      ページ: 16310-16315

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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