研究課題/領域番号 |
16390129
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
江崎 孝行 岐阜大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90151977)
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研究分担者 |
河村 好章 岐阜大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (80262757)
大楠 清文 岐阜大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40362173)
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キーワード | 系統分類 / 16S rDNA / dnaJ / 種の定義 / 同定 / 遺伝子多型 / 亜種の識別 / 進化 |
研究概要 |
過去25年の間に細菌の16S rDNAのデータベース配列が蓄積され、それにもとづいた再分類が次第に整理されてきた。ところが16S rRNAは属の中の菌種間で良く保存されており、種の識別が困難なほど、配列が類似していることがある。16S rDNAで識別出来ない場合は従来から行われてきた定量的DNA.DNAハイブリッド法が必要になるがこの方法は高度に精製されたDNAが必要で、熟練した専門の分類学者がいなければ、実施が困難であった。そこで我々は16S rDNAにかわる多形の遺伝子を検索してきたが、熱ショック蛋白であるDnaJ遺伝子の多型Legionellaで多く見られ、菌種の識別に利用できることを報告した。今年度は腸内細菌科、Staphylococcus,およびStreptococcusのほぼ全菌種にわたってdnaJ配列の決定を行い系統解析をおこなったところ16S rDNA解析で識別出来ない亜種レベルの識別ができることがわかった。16S rDNA配列で一つの属の菌種の配列は95%-100%に分布していたが、Dnajでは80%台の類似度を示しており、種の識別に利用できることがわかった。特にSalmonella属には特徴的な配列が存在し、属レベルでの識別に有用であった。逆にShigella属の配列はE.coliのdnaJ配列の多型の中に位置し両者が分類学的には同一種であることが証明され、Shigella属の菌種はEscherichia属の特定のクローンであると位置ずけることができた。今後はさらに多くの属でデータを蓄積し、医学細菌学の領域で必要な属の菌種及び亜種の定義を確立するためのデータベースを作成し提供したい。
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