研究概要 |
センダイウイルス持続感染細胞より分離されるウイルス(SeVpi)は温度感受性と持続感染細胞樹立能という二つのphenotypesを示す。私たちはリコンビナントウイルス、rSeV(Mpi),rSeV(HNpi),rSeV(Fpi),はそれらのphenotypeを示さないことを報告した。SeVpiの温度感受性スッテプは初期段階にあることが示され,ウイルスポリメラーゼがその責任蛋白であることが推測された。本年は、パラミクソウイルス-ポリメラーゼ構成蛋白であるL蛋白とP蛋白について解析した。1)Lpi蛋白もPpi蛋白もそれぞれ3ヵ所のアミノ酸変異が認められた。Lpi蛋白のアミノ酸変異はaa1088、aa1618、とaa1664に位置していた。2)rSeV(Lpi)は温度感受性ウイルスであり、持続感染細胞樹立能も有していた。3)rSeV(Ppi)は二つのphenotypesを示さなかった。4)L1618Vを含むfragmentを有するrSeV、rSeV(Fr : L1618V)、は温度感受性ウイルスであり、持続感染細胞樹立能を有していたが,rSeV(Fr : A1088S)とrSeV(Fr : I1664V)はどのphenotypeも示さなかった。5)aa1618のleucineをpi-typeのvalineに置換したrSeV(L1618V)は持続感染細胞樹立能を有していたが、温度感受性ウイルスではなかった。6)温度感受性を示すためには、aa1618のleucineがpi-typeのvalineに置換されていると共に、aa1169がthreonineである必要があることが明らかになった。以上の様な結果から、SeVpiの主要なphenotypesはL蛋白によって決定されていることが明らかになった。そして、持続感染細胞樹立能を温度感受性という性質から分離出来ることを証明した。本年は、更に、ルブラウイルス持続感染細胞を樹立した。持続感染樹立効率にはウイルスによって顕著な差が見いだされた。興味深い事に、HPIV-4持続感染細胞は抗インターフェロン活性を有しない事が明らかになり、HPIV-L4はパラミクソウイルスでは抗インターフェロン活性を有しない唯一のウイルスである。
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