研究課題/領域番号 |
16390137
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
岡本 宏明 自治医科大学, 医学部, 教授 (30177092)
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研究分担者 |
西澤 勉 自治医科大学, 医学部, 講師 (30306112)
高橋 雅春 自治医科大学, 医学部, 講師 (70326841)
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キーワード | E型肝炎 / E型肝炎ウイルス / 人畜共通感染症 / ELISA法 / IgAクラス抗HEV抗体 / 感染経路 / 食感染 / 劇症肝炎 |
研究概要 |
研究代表者らは、わが国において人畜共通感染症としての国内感染のE型肝炎が看過できない頻度で発生していることを明らかにしてきた。E型肝炎の起因ウイルスであるE型肝炎ウイルス(HEV)の生態および病原性の分子基盤を解明するとともに、医生態学的調査結果に基づいた具体的な感染予防対策案を提示することを目的として研究を行い、本年度は以下の成果を得ることができた。前年度に開発したELISA法によるIgAクラス抗HEV抗体測定系についてさらに検討し、顕性HEV感染例のみならず、不顕性HEV感染例でもIgMクラス抗HEV抗体測定系よりも優れた感度を有することを示した。ヒトへのHEV感染のreservoirと想定される飼育ブタと野生イノシシでのHEVの感染状況を全国規模で調査し、感染実態を明らかにするとともに、飼育ブタと野生イノシシの双方から遺伝子配列に多様性を示すHEV株を分離し、イノシシ由来の3つのHEV株について全塩基醜列を決定した。E型肝炎患者が最も多い北海道の北見市と札幌市でのE型肝炎患者を対象とした分子疫学的調査研究において、約90%のE型肝炎患者が発症1-2ヶ月前のブタ内蔵肉の摂取既往を有していたことから、ブタ内蔵肉の喫食が重要な感染危険因子であると考えられた。また、E型肝炎発症例のなかには黄疸遷延例や血液凝固能低下例などの重症化例や意識障害を伴い死亡する例もあることをこれまでに報告してきたが、E型肝炎の重症化の因子として、高齢や基礎疾患の有無などの宿主因子に加えて、遺伝子型(genotype)というウイルス因子も重要であり、genotype 4の方がgenotype 3よりも重症度と密接な関連があることを明らかにした。
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