研究課題/領域番号 |
16390140
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
徳久 剛史 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20134364)
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研究分担者 |
有馬 雅史 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (00202763)
坂本 明美 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (90359597)
幡野 雅彦 千葉大学, バイオメディカル研究センター, 助教授 (20208523)
藤村 理紗 千葉大学, バイオメディカル研究センター, 助手 (30376363)
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キーワード | Bcl6 / 体細胞突然変異 / ADAR1 / Ig遺伝子のスイッチ領域 / 胚中心B細胞 / メモリーB細胞 / クラススイッチ / 遺伝子欠損マウス |
研究概要 |
免疫記憶の成立がワクチン療法の原動力であり、ヒトの感染予防の根幹をなすといっても過言ではない。すでに、成熟B細胞がメモリーB細胞へ分化する場が脾臓やリンパ節内の胚中心であることが明らかにされた。胚中心では、抗原刺激により活性化された成熟B細胞がそのIg遺伝子において高率に体細胞突然変異をおこして、抗原親和性がより高いB細胞クローンが選択的に増殖し、かつIg遺伝子のクラススイッチを起こして、IgG抗体を持つメモリーB細胞へと分化する。最近我々は、Bcl6欠損メモリーB細胞ではIgGへのクラススイッチは正常に起きるのに、Ig遺伝子のV領域には体細胞突然変異が全くみられないことを明らかにした。そしてBcl6欠損B細胞のIg遺伝子領域を詳細に解析したところ、Ig遺伝子のスイッチ領域に体細胞突然変異が高頻度に見られ、かつその領域に正常B細胞では見られない体細胞突然変異が起きることを見出している。そこで、Ig遺伝子のV領域やスイッチ領域などにおける体細胞突然変異の導入制御におけるBcl6ファミリーの機能をその標的遺伝子を含めた分子のレベルで解析した。 その結果、 1)Bcl6欠損マウスでは、T細胞や腎臓細胞でもIg遺伝子のスイッチ領域に体細胞突然変異が高頻度に見られた。 2)その体細胞突然変異では、AからGへの変異が多く見られた。 3)ADAR1がBcl6の標的遺伝子であり、Bcl6欠損マウスの各臓器において、ADAR1の発現が増強していた。 4)Bcl6欠損マウスの細胞へのADAR1の過剰発現により、Ig遺伝子のスイッチ領域にAからGへの変異が誘導された。 上記の結果から、Bcl6は胚中心においてADAR1の発現を抑制することにより、その体細胞突然変異の導入を予防していると考えられた。
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