研究概要 |
NK細胞レセプターは、活性化レセプターと抑制化レセプターよりなりウィルス等の病原体とともに進化してきたと思われ生体防御に重要な機能を担っていると考えられる。そこで、本研究では、新たな活性化NK細胞レセプターの解明およびそのリガンドの同定により、NK細胞による免疫制御機構の解明を行った。その結果、活性化NK細胞cDNAライブラリーより活性化アダプター分子であるDAP12に会合する分子として活性化PILRや活性化CD200レセプターをクローニングした(Shiratori et al. J.Exp.Med.2004)。さらに、CD200レセプターについて解析したところ、マウスでは抑制化レセプターと活性化レセプターの発現が認められた一方、ヒトでは、抑制化レセプターのみの発現が認められた。さらに、それらのリガンドであるCD200について解析したところ、ヒトCD200レセプターはヒトCD200ばかりでなく、ヘルペスウィルスHHV-6,7,8のCD200も認識することが明らかになった。実際HHV-6,7,8のCD200は感染細胞表面に発現が認められ、感染細胞上のCD200は、抑制化CD200レセプターを発現している免疫細胞の活性化を特異的に抑制することが明らかになった。以上より、ウィウルスはNK細胞等の自然免疫細胞に発現しているCD200レセプターを介して生体防御応答を制御していることが明らかになった。今後、さらにNK細胞レセプターの免疫応答における機能を解析する。
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