研究課題/領域番号 |
16390160
|
研究機関 | (社)北里研究所 |
研究代表者 |
花輪 壽彦 (社)北里研究所, 東洋医学研究所, 所長 (40164892)
|
研究分担者 |
櫻井 正智 (社)北里研究所, 東洋医学研究所, 研究員 (00390732)
早崎 知幸 (社)北里研究所, 東洋医学研究所, 研究員 (70353472)
高橋 裕子 (社)北里研究所, 東洋医学研究所, 研究員 (90306572)
村上 和雄 国際科学振興財団, バイオ研究所, 所長 (70110517)
|
キーワード | 漢方薬 / 遺伝子発現 / 層別化 / DNAチップ法 / FDD / 香蘇散 / 半夏厚朴湯 / 診断 |
研究概要 |
平成17年度は前年度の香蘇散の服用により発現変化する遺伝子の同定をおこなったものと同様に半夏厚朴湯についての検証を行なった。まず、解析をFDD法により施行した。被験者から調製したRNA(遺伝情報の伝令機能を有した核酸)を鋳型として蛍光色素を付与したオリゴdTプライマーを用いた逆転写反応によりcDNAを合成後、このプライマーをアンカープライマーとして任意の混成配列を持つプライマーと共にPCR反応(FDD法ではプライマーの数だけPCR反応を行う)を行い遺伝子増幅産物を得、この遺伝子増幅産物を電気泳動にかけ、発現量が漢方薬の服用前後で変化している遺伝子をスクリーニングした後、単離・クローニングし塩基配列を決定して、発現に変化が認められた遺伝子を同定した。次に、DNAチップ法を行った。これら遺伝子の発現変化を測定することの妥当性検証と特定の漢方薬に反応する人に特異的な遺伝子の発現パターンをそれぞれの漢方薬について同定した。特定の漢方薬の服用により特異的に発現変化する遺伝子をグループ分け、漢方薬の薬効に関連する遺伝子群の抽出をおこなった。 本年度は、半夏厚朴湯の服用により発現変化する遺伝子の同定をFDD, DNAチップ法で行ったが、17年度までの2年間で2種類の漢方薬についてFDD法だけでなくDNAチップ法においても、漢方薬に反応する群について特徴的な遺伝子の発現形が観察された。この2種類の漢方薬共に反応群に特徴的な遺伝子発現形の中で、服用後にも変化しない群が存在し、遺伝子発現の特徴と配列の両者の影響を示唆する結果となった。これらを踏まえ、次の段階として、これら2種の漢方薬について遺伝子配列の特徴を観察し、層別化を確認する作業が必要だと思われる。この作業により、遺伝子発現の検証まで終了した、これらの漢方薬の反応群に特徴的な遺伝子を網羅的に解析することが可能である。この段階で特定の漢方薬に対する特定の遺伝子群の対応が証明できると予測される。
|