研究課題/領域番号 |
16390163
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
向田 直史 金沢大学, がん研究所, 教授 (30182067)
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研究分担者 |
藤井 千文 金沢大学, がん研究所, 助手 (10361982)
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キーワード | ケモカイン / 肝転移 / 肝癌 / CCL2 / CCR1 / CCL3 / Pim-3 / セリン / スレオニン・キナーゼ |
研究概要 |
1)野生型マウスならびにケモカインであるCCL2の特異的レセプターであるCCR2を欠損したマウスの門脈に、マウス結腸癌細胞株colon26を接種した。CCR2欠損マウスでは、接種10日目以降において腫瘍内新生血管数・腫瘍の大きさ・腫瘍内へのクッパー細胞ならびに伊東細胞の集積が、野生型マウスに比べて減弱していた。さらに、CCR2欠損マウスでは、血管新生作用を保有しているマトリックスメタロプロテナーゼ(MMP)-2の発現が、野生型マウスに比べて減弱していた。MMP-2の発現が伊東細胞に選択的に認められたことから、CCL2-CCR2系はMMP-2を発現している伊東細胞の腫瘍内への集積を誘導し、腫瘍内新生血管形成を誘導することによって、腫瘍形成を促進している可能性が強く示唆された。 2)ジエチルニトロサミンを新生児のマウスの腹腔内に投与すると、投与10月後に肝癌が多発性に発生した。同様の処置を、ケモカインCCL3とそのレセプターCCR1の欠損マウスに行うと、野生型マウスに比べ、生じる肝内の腫瘍の大きさと腫瘍内新生血管が顕著に減弱していた。さらに腫瘍内へのクッパー細胞の集積と、クッパー細胞が発現しているMMP-9の発現が減弱していた。CCL3-CCR2系はMMP-9を発現するクッパー細胞の腫瘍内への動員を引き起こすことによって、肝内腫瘍の進展に働いていると考えられた。 3)セリン/スレオニン・キナーゼ活性を保有する原がん遺伝子Pim-3が、肝臓以外に、ヒトの膵臓・大腸において、正常では認められないのに対して、癌化に伴い発現が亢進していて、これらの癌由来の細胞株の増殖過程に関与している可能性を認めて、現在論文を投稿中である。
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