研究課題
基盤研究(B)
本研究では、職業性ストレスとがん罹患との関連性とそのメカニズムを明らかにすることを目的として、2つの前向きコホート研究(既存コホートデータと新規コホート)および職業性ストレスとがん罹患の媒介要因(免疫機能、抗酸化能などの生理指標および食事等のがん関連保健行動)との関係についての小規模な追跡研究を実施した。特に本研究では以下の3点を検討した。(1)2大職業性ストレス理論である「要求度-コントロール-社会的支援モデル」および「努カ-報酬不均衡モデル」に基づく職業性ストレスと全がんの罹患(および部位別のがん罹患)との関連性、(2)これ以外の職場の社会心理的な要因とがん罹患との関連性、(3)職業性ストレスとがん関連の生理指標(免疫機能および抗酸化能マーカー)および保健行動(喫煙、飲酒、栄養)との関連性。結果として、職業性ストレスは全がんの罹患リスクを増加させる可能性があることが示唆された。そのメカニズムの一部として、職業性ストレスによるDNA酸化があると考えられた。一方、食事や生活習慣は、職業性ストレスとがん罹患をつなぐ媒介変数としては大きな役割を果たしていないと推測された。
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