研究課題/領域番号 |
16390171
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
矢野 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
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研究分担者 |
小林 廉毅 東京大学, 医学部, 教授 (70178341)
中尾 睦宏 帝京大学, 医学部, 助教授 (80282614)
錦谷 まりこ 帝京大学, 医学部, 助手 (40327333)
野村 恭子 帝京大学, 医学部, 助手 (40365987)
大脇 和浩 帝京大学, 医学部, 助手 (60297124)
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キーワード | 過重労働 / 雇用形態 / 労働衛生 / 自覚症状 / メンタルヘルス / 健康診断 |
研究概要 |
労働者の作業態様、特に過重労働が自他覚症状・健康意識、および健診データやメンタルヘルスに及ぼす影響を定量的に解析評価し、相互の関係を明らかにするために、以下の調査を行った。 1.過重労働対策における健康診断の有効性 健康診断が過重労働による健康障害防止のために果たす役割を検証するため、某研究所の60歳以下の男性職員818人について、毎日4時間以上の超過勤務を行っている者とそれ以外の者の健康診断結果を比較した。その結果、法定定期健診項目に含まれる血圧、体重、血液生化学、心電図のいずれも、長時間残業の有無で差がなかった。一方自覚症状は事務系職員において群間の差が顕著で、長時間労働者は有意に疲労を訴えることが多く、睡眠障害を訴える者も多い傾向があった。同様な結果は他の集団でも得られており、過重労働者の健康診断にあたっては、数値検査項目に頼りすぎることなく、労働者の自覚的訴えに十分耳を傾けることが重要と思われた。 2.メンタルヘルスと自覚症状 上のように健診項目の中で必ずしも結果が十分利用されていない自覚症状の問診は、実は労働者の健康状態について最も重要な情報を提供している可能性がある。職業に関連したうつ病による自殺が現在大きな問題となっていることから、職域でのうつ病の早期発見と対処のため、自覚症状問診によるうつ病の簡便な診察法の開発を検討した。うつ病はDSM-IVにより診断し、それと身体症状も含む22項目の自記式問診調査票での陽性数の関係を調べた。その結果、特にそのうち9つの項目を用いることで、高い感度と特異度をもつスクリーニングが可能であることが明らかになった。 今後の課題であるが、雇用形態や就業形態の多様化が、労働者の健康にどのような影響を与えるか、またそれに対応するには労働衛生活動のあり方はどうあるべきかを調査して行く予定である。
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