研究概要 |
まず,MDSデータによるアウトカム評価指標については,某療養型病床において,2年余蓄積してきたMDSデータから,file-makerによりプログラムをくみ,米国のナーシングホームの監査に用いているアウトカム指標の算出が逐次的に可能になった。これらの指標の変動と各種要因(施設の人員・管理体制など)との関連の分析,および,ほかの施設での実行が次年度からの課題である。 また,上記アウトカム指標のうち転倒に着目し,定期的にこのモニター結果を分析し,継続的改善と評価を繰り返す試みにおいては,今年度,老人保健施設2施設の過去の転倒記録を匿名化してデータ入力分析を行い,転倒要因としての車椅子プレーキが問題であるケースを抽出した。一方,自動ブレーキ付き車椅子にっいて,現場の施設での説明会を行い,利用上の注意など説明の上,導入準備を整えた。その他の転倒に関する分析では,人員配置が少ない時間帯,施設内の特定の場所に転倒が集中することがわかった。現在,施設の詳細な勤務体制および施設内の地図を入手し,GIS(Geographic Information System)を用いた事故発生場所・頻度のシステムを整備している 倫理的配慮については,平成16年12月28日に全面改正された「疫学研究に関する倫理指針」において,11.他の機関等の資料の利用(2)既存資料などの提供にあたっての措置(p17)に,「当該資料が匿名化され連結可能匿名であって対応表を有していない場合」には,対象者の同意および倫理委員会の承認を必ずしも必要としないことが明記されていることから,対応表作成を当該施設内部に依頼し,連結表を研究者は所せず匿名化したデータの享受であることを徹底した。同時に,この旨を明記した誓約書を当該施設に提出し,施設の長の了解を得ることで,転倒記録・基本情報・MDSデータの入手を進めた。
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