研究概要 |
照明環境が乳がん発生率を高めているという仮説がある。夜間での照明への暴露が、エストロゲンなどの性ホルモンの制御に関わるメラトニン産生を抑えるので、その結果として高エストロゲン状態がもたらされ、乳がんリスクの増加につながるという可能性が考えられている。本研究では、ケース・コントロール研究のデザインを用いて、夜間における照明環境、すなわち深夜を含む夜間の照明暴露時間、睡眠時における照明の強さなどと乳がんリスクとの関連を評価し、また、その機序を説明するものとして、横断研究のデザインで一般集団を対象に照明環境と尿中および血中測定によるメラトニン値とエストロゲン値および両者の関連性を調査することを目的としている。 本年度は調査票作成、データ収集が主となった。調査票はDavisら(Am J Epidemiol,2001)による調査票を参考に、就寝時刻、、起床時刻、夜間における照明環境のレベル、深夜夜勤歴に関する項目を作成した。データ収集中であるが、閉経後女性の一部のサンプルでは尿中メラトニン(aMT6-s)、血清エストロゲン、アンドロゲン、睡眠習慣の関連性を評価した。メラトニンのピーク時、即ち午前1-2時まで就寝していない女性では、就寝している女性に比べ尿中aMT6-s値が低く、また血清エストラジオール値は高かった。しかし、尿中aMT6-s値と血清エストラジオール値に直接の関連性は認められなかった。サンプル数が増えた後、改めて解析を行う。
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