研究課題/領域番号 |
16390183
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
宮井 信行 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40295811)
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研究分担者 |
宮下 和久 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50124889)
有田 幹雄 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (40168018)
森岡 郁晴 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (70264877)
後和 美朝 大阪国際大学, 人間科学部, 教授 (40248050)
冨田 耕太郎 和歌山大学, 経済学部, 助教授 (50197935)
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キーワード | 思春期 / インスリン抵抗性 / 性発達 / アディポサイトカイン / 代謝性疾患危険因子 |
研究概要 |
本年度は10〜17歳の健常小児を対象に調査を実施し、血中インスリン濃度(IRI)の加齢変化を明らかにするとともに、その変化と思春期発来に伴う内分泌環境や身体組成の変化および動脈硬化性疾患の危険因子との関連について横断的解析により検討した。IRIは男子では10歳から上昇して13歳で最高値に達し、その後は徐々に低下した。女子では11歳で急な上昇を示した後、13歳まで緩やかに低下し、それ以降では低下が大きくなった。身長の最大発育年齢を基準にみると、最大発育年齢を迎える前に比べ、迎えた年には急に高値となるが、その後は発育段階が進むにつれて徐々に低下した。また、IRIは体脂肪率や血清レプチンと強い相関を示したことから、思春期の第2次性徴がインスリン抵抗性に影響を及ぼし、一過性にIRIの上昇をもたらすことが示唆された。一方、肥満者では非肥満者に比べ、思春期の加齢変化を考慮してもIRIの上昇が認められた。さらに、IRIが高値を示す者では、収縮期および拡張期血圧、総コレステロール、中性脂肪、動脈硬化指数が高かったが、共分散分析で体脂肪率を補正した場合も、拡張期血圧、中性脂肪、動脈硬化指数で有意な差が認められた。したがって、IRIが体脂肪率とは独立して、これらの指標に関連することが示唆された。その背景として、インスリン抵抗性が単に脂肪組織の多少に依存するだけでなく、内臓脂肪蓄積の有無にも強く影響されることが考えられるが、IRIは体脂肪率やBMIに比べてウエスト/身長比と最も強い相関を示した。 以上、インスリン抵抗性は第2次性徴に伴う内分泌的変化や身体的な変化に影響を受けて変化することが示唆された。また、このような思春期の加齢変化を考慮しても、肥満者では非肥満者に比べてインスリン抵抗性が亢進しており、これらは動脈硬化性疾患の発症に寄与する血圧や脂質代謝などの指標にも関連することが明らかになった。
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