研究課題/領域番号 |
16390183
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
宮井 信行 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40295811)
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研究分担者 |
宮下 和久 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50124889)
有田 幹雄 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (40168018)
森岡 郁晴 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (70264877)
後和 美朝 大阪国際大学, 人間科学部, 教授 (40248050)
冨田 耕太郎 和歌山大学, 経済学部, 助教授 (50197935)
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キーワード | 思春期 / 性発達 / インスリン抵抗性 / アディボサイトカイン / 動脈硬化性疾患危険因子 |
研究概要 |
本年度は、思春期の性発達段階によるインスリン濃度(IRI)やインスリン抵抗性の変化、それらとアディポサイトカインの変化との関連、動脈硬化性疾患の危険因子の発現に及ぼす影響について縦断的解析を行った。 身長の最大発育年齢(MIA)を基準にIRI、HOMA指数の変化をみると、MIAを迎えた年には急に高値となるが、それ以降では発育段階が進むにつれて緩やかに低下し、MIAを迎える前の値に近づく変化がみられた。また、IRI、HOMA指数は血清レプチンが高くなるほど高値となり、その傾向は肥満者で顕著であった。さらに、血清レプチンが高いレベルを推移する者では、IRIやHOMA指数も高値を示す変化がみられた。次に、思春期のインスリン抵抗性やIRIの動態が青年期にかけての血圧の変化に及ぼす影響を検討した。男子については、IRIが標準的な変化の範囲を超えて上昇した群では、不変群や低下群に比べて収縮期血圧、拡張期血圧ともにその変化量が有意に大きかった。女子では、収縮期血圧は連続的な関係を示したものの、拡張期血圧では一定の傾向はみられなかった。また、血圧の変化量を目的変数に、BMI、IRI、血清レプチンの変化量、年齢、追跡年数を説明変数とした重回帰分析を行うと、男子では、収縮期血圧、拡張期血圧のいずれに対してもIRIは有意な説明変数であった。女子では、IRIは有意な説明変数とならず、血圧の推移に対して独立した関連を示さなかった。 これらの縦断的解析から、思春期の第2次性徴がインスリン抵抗性の増大に関与し、MIAの時期に符号して一過性にIRIの上昇をもたらすことが示唆されるとともに、このような生理的変動の範囲を超えてIRIが上昇する者では、数年後に血圧が高値となることが示されたことから、小児においても肥満に伴うインスリン抵抗性が高インスリン血症を招き、これが血圧上昇に関与する可能性が考えられた。
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