【目的】川崎病既往者の長期予後を明らかにする。【方法】全国の52病院を受診した川崎病患者で、第8回から第12回までの全国調査(1982年7月〜1992年12月の初診患者)で報告された全ての患者を本研究のベースとした。2004年末日までの生存状況を住民基本台帳と戸籍により確認し、死亡者は死亡診断書の写しを入手して死因を確認した。人口動態統計をもとにした期待死亡数を計算し、実際の死亡数と比較した。【結果】対象者6576人のうち、2004年末日、またはそれ以前の死亡日まで追跡できなかった26人(追跡率=99.6%)、2004年末日までに死亡が確認された者36人を除く生存者6514人の2004年末日現在の年齢は、全体の約半数で10〜19歳であった。平均観察期間は17.6年であった。死亡者の死亡原因は、初診後2月以内の急性期の死亡8例中7例が川崎病であった。急性期以降の死亡28例の死因は、川崎病(含疑い)が7例、循環器系の先天異常が4例、悪性新生物が5例、その他の内因死が4例、外因死が8例であった。全体の期待死亡数は31.6で、SMRは1.14(95% CI : 0.80-1.57)であった。急性期以降の死亡を心後遺症の有無別に観察すると、心後遺症を持つ者のSMRは10/5.2=1.92(0.92-3.92)と有意ではないものの上昇していた。この10例の死亡はいずれも男で、心後遺症を持つ男の期待死亡数は3.9であり、SMRは2.55(1.23-4.70)と統計学的に有意に上昇していた。一方、心後遺症がない群では死亡率の上昇は観察されていない。
|