研究課題/領域番号 |
16390188
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研究機関 | 国立国際医療センター(研究所) |
研究代表者 |
中村 哲 国立国際医療センター(研究所), 室長 (40207874)
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研究分担者 |
千種 雄一 独協医科大学, 医学部, 助教授 (20171936)
波辺 重久 福岡大学, 医学部, 講師 (70037430)
三好 美紀 独立法人国立栄養研究所, 特別研究員
二瓶 直子 国立感染症研究所, 客員研究員
鈴木 琴子 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (90320051)
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キーワード | 感染症 / 社会医学 / 寄生虫 / 応用動物 / 生態学 / 地理情報システム |
研究概要 |
本年度における研究は、昨年度明らかにしたラオスの未知の2肺吸虫種の成虫による同定、および昨年に引き続き現地研究協力者(IFMT : French Institute of Tropical Medicine)と共同し、ヒト疾患の起因となる種の同定を主眼とした。 未知種の同定に関しては、昨年度肺吸虫症流行地の蟹から得た2種のメタセルカリアを実験動物に感染させて得た成体について形態学的に検討した。その結果、これらはラオスでは未報告のParagonimus harinasutaiおよびP.bankokensisであると同定した。したがって、ラオスの肺吸虫種は、既知のP.westermaniとP.heterotremusを加えて、少なくとも4種存在することが本研究で始めて明らかとなった。また前者の2種はビエンチャン首都近郊の流行地Hinheub地区の第2中間宿主である蟹に最も多く感染していることから、この地区の肺吸虫症起因の候補と推定した。ヒト起因種に関しては、年度内7月および11月、2月に同地住民調査を実施し、ヒト肺吸虫症の喀痰6例から虫卵を得た。この検体について、杉山ら(2002)の方法により上記4種のリボソーム特異DNAプライマーを用いた種特異遺伝子(ITS2)検出系(PCR法による)を確立し、種を同定した。得られたITS2のDNAシークエンス解析の結果、きわめて興味深いことにヒト肺吸虫症6例は全てP.heterotremusに合致した。このことから、地域のヒト肺吸虫症の主な起因が第2中間宿主では稀なP.heterotremusであることが強く示唆された。 このように本研究の成果は着実に上がっている。来年度以降はヒト症例に関わる診断をより確実なものとする一方、既知肺吸虫種の宿主特異性の検証などを中心として研究を総括する。
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