研究概要 |
歯の健康と全身の健康の関係を示すため、自記式問診票によっても正確な口腔状態のデータが得られる歯科医師を対象にしたコホート研究を計画した。ベースライン調査では自記式問診票により、性・年齢、既往歴・家族歴、口腔状態(喪失歯数、歯周の状態など)、生活習慣(とくに食習慣)、心理要因、口腔関連QOLなどの情報を収集する。対象者の追跡には、同意を得た上で、歯科医師共済制度で把握される疾病罹患・死亡状況を利用する。 本年度は2県の県歯科医師会においてベースライン調査を行った。昨年度までの実施分も含め、ベースライン調査票の回答者は45県歯科医師会の約22,200名に達している。さらに研究参加者の追跡調査も開始しており、これまでに152名の死亡を確認するとともに、疾病罹患、異動についても把握を行っている。 ベーライン調査回答者のうち、研究への同意書を提出した21,078名(性年齢不詳を除く、女性1,692名。有効回答率36.3%、平均年齢±標準偏差52.3±12.3歳)における横断的検討では、CPI 2以上の歯周病に関連する要因として年齢、喫煙、糖尿病、低いブラッシング頻度、低い歯間清掃用具の使用頻度、低い精神的健康度、激しい運動をしないが認められ、また5歯以上の歯牙喪失の関連要因として年齢、女性、喫煙、非飲酒、糖尿病、低い歯間清掃用具の使用頻度、低い歯石除去頻度、高血圧、激しい運動をしないが挙げられた。さらに喪失歯数が多い群ほど、蛋白質、脂質、カルシウム、鉄、カリウム、カロテン、ビタミンA・C・E、食物繊維のエネルギー調整摂取量は少なく、逆に炭水化物は摂取量が多い傾向が認められ、歯牙喪失に対する治療が適切に実施されている歯科医師においても、十分な栄養摂取には歯牙喪失の予防が重要であることが示唆された。本研究は少なくとも2009年3月まで、対象者の追跡調査を継続する予定である。
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