研究概要 |
慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome : CFS)を疑われ紹介された患者、あるいは患者自身でCFSを疑って来院した患者27名に対し、以下の項目について検討した。 一般身体疾患を除外するための諸検査。 疾患との関連が疑われているウイルス、リケッチャの抗体価の測定。 精神科専門医による精神科的疾患の鑑別。 DNAチップ用による末梢血白血球の遺伝子発現プロファイリング。 治療は基本的に『証』に応じた漢方療法を行い、改善度については定期的にWHO QOL26で評価した。得られた結果は以下に要約される。 1)HHV6,HHV7:有意な抗体上昇は、2例に求めたが、活動性を示唆する所見は認められなかった。 2)Q熱:1例も有意な抗体上昇は認めなかった。 3)精神科的評価で最も多かったのは、『慢性疲労症候群+2次性うつ状態』の患者であった 4)DNAチップ用による解析では、単純疲労、うつ病による疲労とは異なる遺伝子発現パターンが観察され、慢性疲労に特徴的な遺伝子群の同定に成功した。 5)証は一定の傾向を示さず、また治療経過中にも『証』が変化し、西洋医学的な治療効果の研究・解析方法にはなじまないことが明らかとなった。 *本年度は、上記5)および、慢性疲労を呈する患者の一般的アプローチに関して研究会で発表したDNAチップの発現データについては、現在、慢性疲労診断に有用な遺伝子群については特許出願準備中である。
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