Dominant negative Pim-1(DNPim-1)および11個のアルギニンを分泌シグナルにつないだDNPim-1(11R-DN-Pim-1)発現ベクターを移植腫瘍からはなれた筋肉内に投与したところ、移植腫瘍の多萎縮が認められた。その機序を明らかにするために、まず分泌蛋白が分泌されていることを確認した。発現ベクターを導入した細胞の培養上清を回収し、ウエスタンにてDNPim-1蛋白の存在を確認したところ、DNPim-1蛋白が培養上清中に存在することが確認された。ついで、11R-DN-Pim-1蛋白が細胞内に導入されていることを確かめた。その結果、細胞内に導入されていることを確認した。この結果はDNPim-1を用いた遺伝子治療法の有効性を示唆している。しかしながら11R-DN-Pim-1ばかりかDN-Pim-1でも効果を示していることは、効果を示す機序として細胞外でも何らかの作用を持っている可能性を示唆する。今後はメカニズムの解明が重要と考えられた。また、合成化合物のスクリーニングにてセリンスレオニンカイネース活性を阻害する候補物質を同定しており、その誘導体の活性探索を開始した。阻害活性と構造の相関関係が次第に明らかになりつつあり、より有効な物質の合成が可能になるものと思われる。今後はより阻害活性の強い物質を用いてマウスモデルでの抗腫瘍活性や副作用などの検討に入る必要があると考えている。
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