研究概要 |
肝臓再生における再生調節機構を解明を目的として基礎的検討を行った。肝実質細胞癌より産生、分泌されるdes-gammma-carboxy-prothrombin(DCP)は、肝細胞癌cell line, Hep3B, SK-Hep-1の細胞増殖を20ng/mlにおいて1.5-2.0倍亢進させた。その作用はMet-Jak1-STST3を介するものであり、STAT3の活性化はluciferase assayにより確認できた。Met及びSTAT3のsiRNAを用いた検討ではDCPの作用は認められなかった。また、肝実質細胞と肝類洞壁細胞のinteractionを確認する目的で、肝細胞より産生される可能性のあるDCPの類洞壁細胞に対する効果を検討した。DCPは血管内皮細胞であるヒト臍帯静脈細胞(HUVEC)の細胞増殖能を20ng/mlにおいて1.4倍亢進させた。DCPの細胞移動能に対する効果は肝細胞癌に対する効果と異なり、20ng/mlにおいて2.2倍亢進させた。肝実質細胞の細胞増殖を誘導し、血管新生を誘導する可能性のあるDCPの産生に関る律速酵素であるgammma-glutamyl carboxylaseの発現制御の細胞に及ぼす影響について更に検討を行ったところ、carboxylaseの発現抑制により細胞増殖及び細胞移動能は亢進することが明らかとなった。今後carboxylaseのターゲット及び、実質細胞の増殖に関連する肝類洞壁細胞との共同作用について更に検討を進めていく予定である。
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