研究概要 |
我々は、自己骨髄細胞を用いた肝臓再生療法の臨床応用を進める基盤モデルとして骨髄細胞から肝細胞への分化評価モデル(GFP/CCl4モデル)を開発し、骨髄細胞が持続的肝障害の肝硬変時に肝臓に遊走され肝細胞へ分化・増殖することを明らかにした(JB 2003)。さらにこのモデルの解析を通じ、骨髄細胞移植により生存率の回復、また肝線維化の改善を発見した(Hepatology 2004,)。これらの基礎成果を基盤にし、平成14年より世界に先駆け肝硬変症に対する自己骨髄細胞投与療法を開始しその最初の臨床研究の成果を発表した(Stem Cells 2006)。さらに骨髄細胞の肝臓への定着、分化を促進する血清因子の解析のため、マウスの血清を用いてプロテオミクス解析を行った。その結果、Apolipoprotein等の発現が血清中に有意に上昇していることが明らかになった(Proteomics 2006)。さらに増殖因子の解析の結果、FGFが増殖因子の中でも特に骨髄細胞の肝臓への定着に関与することが明らかになり、さらにrFGF2と骨髄細胞の同時投与は肝硬変症の線維化改善効果もあることが明らかになった(Cell Tissue Res 2005, 2006)。その他本研究期間の基礎研究として、網羅的なサイトカインの解析として、Bio-Rad社のBioplexを用いて解析を行った。さらに、肝幹細胞の分化制御機構を検討するため、我々が以前より解析を行っていたHuman Homologue of Maid (HHM)遺伝子について詳細に検討するため、Maid KOマウスの作成も行った。これらの知見についても今後報告していく予定である。
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