研究課題
基盤研究(B)
特発性心筋症患者を対象としてZ帯構成要素遺伝子群の変異を検索し、見出された変異について機能変化を検討した。その結果、Cypher/ZASP変異が拡張型心筋症の原因となること、この変異によってPKC結合性が増強することが判明した。一方、TCAP変異は拡張型心筋症、肥大型心筋症のいずれにも各2種見出されたが、拡張型心筋症における変異はMLPおよびカルサルチン1への結合性が減弱するのに対し、肥大型心筋症における変異はMLP,タイチン、カルサルチン1への結合性が増強した。このことから、同一遺伝子の変異であっても、その機能変化が異なることで、まったく異なる病態を規定することが明らかとなった。また、カルサルチン1はカルシニューリン結合タンパクであることから、これらの結果は、心筋症の発症機構にZ帯タンパクのリン酸化制御が関わることを強く示唆する。これとは別に、高血圧性心筋症の動物モデルであるダール食塩感受性ラットの心筋において心肥大期に発現が亢進する増殖因子様遺伝子DSS10(仮称)のヒトオルソローグについて検討したところ、高血圧性拡張型心筋症患者の2/9(22.2%)に変異が観察された。この変異は一般非心筋症者集団には1/1668(0.2)、特発性拡張型心筋症患者には0/134(0%)しか存在しないため、高血圧性拡張型心筋症と特異的に関連するものと考えられた。ついでDSS10の機能解析を行ったところ、DSS10はZ帯に分布すること、TCAPと結合すること、変異によってTCAP結合性が減弱すること、変異があると細胞外への分泌が亢進すること、ラット心筋細胞に肥大とサルコメア整合性の促進をもたらすことが判明した。このことから、DSS10は高血圧存在下に心肥大と心筋リモデリングをもたらす因子であると考えられた。一方、酵母2ハイブリッド法を用いてCypher/ZASP遺伝子の心筋特異的発現ドメインに結合するタンパクをスクリーニングしたところ、2種類のタンパクが結合することが判明した。
すべて 2005 2004
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