研究課題
既知の原因遺伝子との機能連関を指標に候補遺伝子を選択し、心筋疾患者集団における変異検索を行う手法で、CRYABおよびFHL2に拡張型心筋症関連変異を見出した。ミオパチー関連CRYAB変異はクリスタリン凝集をもたらすが、心筋症関連変異で凝集を認めなかった。また、CRYABはタイチンN2B領域およびI26/I27ドメインに結合するが、心筋症関連変異はN2B結合性の低下をもたらした。した。一方、タイチンN2B領域には肥大型心筋症、拡張型心筋症それぞれに関連する変異を見出しているが、これらはいずれもCRYAB結合性を低下した。CRYABは虚血からの心筋保護を担うが、その機能の一端はタイチン結合を介すると考えられており、その異常は心筋症病態をもたらすと考えられた。また、拡張型心筋症関連FHL2変異もタイチンN2B結合性を低下した。酵母2ハイブリット法を用いてCypherの心筋特異的ドメインに結合するタンパクを同定した。Cypher心筋特異的ドメインには2種類の拡張型心筋症関連変異が報告されているが、そのいずれもがこのタンパクとの結合性を低下した。さらに、この結合タンパク遺伝子に心筋症関連変異を見出した。横紋筋特異的に発現する新規遺伝子(H452)の構造解析を行い、スプライシングパターンが異なる少なくとも3種のアイソフォームが存在することが判明した。これらのアイソフォームcDNAにそれぞれGFPを融合しラット心筋初代培養細胞にトランスフェクトした結果、いずれのアイソフォームともZ帯に分布するが、一番短いアイソフォームは核にも分布した。また、H452のアイソフォーム特異的な領域に対応するペプチドに対する抗体を作製し、組織標本を染色したところ、心筋、骨格筋のいずれにおいてもH452はZ帯と介在板に発現していた。また、肢体型筋ジストロフィー患者にH452変異を見出したが、心筋症患者では変異が検出されなかった。これらとは別に、HCV感染後拡張型心筋症の発症にHLAに連鎖したTNF-BAT1領域内遺伝子が関わることを示した。
すべて 2006 2005
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