研究課題
我々は数年前より重症虚血肢患者を対象に「自己骨髄細胞移植による血管再生療法」を開始し、良好な治療成果を上げている。この治療法を虚血性心疾患患者に適応拡大を図ることを目的に、平成17年度は(1)重症虚血性心疾患患者への骨髄細胞移植を開始し、その有効性、安全性を確認するとともに、(2)骨髄から末梢血への内皮前駆細胞の動員が有効な治療効果をきたすか検討し、以下の研究成果が得られた。(1)心臓への骨髄細胞移植療法昨年度のカニクイザルを用いた前臨床試験の研究成果(Stem Cells,2005)をもとに、ヒトにおける臨床試験を開始した。症例は61歳の糖尿病を合併した3枝病変の男性患者。左前下行枝および右冠動脈にはバイパス手術を施行し、血管病変が高度でバイパスが不可能な左回旋枝領域には自己骨髄由来内皮前駆細胞(CD34^+細胞)を移植した。合併症は全くなく、移植1カ月後の評価では内皮前駆細胞を移植した左回旋枝領域で著明な血流の改善を認めた。今後も適応症例を対象に骨髄細胞移植療法を継続し、症例を重ねていく予定である。(2)内皮前駆細胞の動態解析血管障害モデルマウスを用いG-CSF-投与により血中の内皮前駆細胞が増加し、再内皮化が促進し、狭窄が予防できることを明らかにした(Cardiovasc Res,2006)。
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