研究課題
我々はこれまで重症虚血肢患者を対象に「自己骨髄細胞移植による血管再生療法」を開始し、良好な治療成果を上げている。この治療法を虚血性心疾患患者に適応拡大を図ることを目的に、平成18年度は(1)ヒト臨床試験における有効性、安全性の検証、(2)内皮前駆細胞動員療法の開発、(3)内皮前駆細胞投与法の開発、について研究を進め、以下の研究成果が得られた。(1)ヒト臨床試験における有効性、安全性の検証昨年度に続き、重症虚血性心疾患患者1名に対して、自己骨髄細胞由来内皮前駆細胞(CD34+細胞)移植を実施し、その有効性、安全性を確認した(論文投稿中)。今後、さらに症例数を増やし検証を継続する予定である。(2)内皮前駆細胞動員療法の開発マウスの大腿動脈内膜をワイヤーにて傷害した血管狭窄モデルを作製し、M-CSF投与による骨髄からの内皮前駆細胞の動員の狭窄への影響について明らかにした(Arterioscler Thromb Vasc Biol,2007)。さらに臨床研究にて、血中CRP値が高い患者では末梢血中の内皮前駆細胞が減少していることを観察し、炎症と動脈硬化の関連について明らかにした(2007年日本循環器学会学術集会発表)。(3)内皮前駆細胞投与法の開発傷害心筋および血管平滑筋細胞は糖鎖(GlcNAc)を特異的に認識するレセプターを発現しており、この糖鎖を利用することにより傷害心血管組織に細胞や薬物を特異的に集積させることが可能であることを明らかにした(2006年米国循環器学会発表、論文投稿中)。
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