研究課題
基盤研究(B)
我々はこれまで重症虚血肢患者を対象に「自己骨髄細胞移植による血管再生療法」を開始し、良好な治療成果を上げている。この治療法を虚血性心疾患患者に適応拡大を図ることを目的に、(i)ヒト臨床試験における有効性、安全性の検証、(ii)内皮前駆細胞動員療法の開発、(iii)内皮前駆細胞投与法の開発、についてモデル動物およびヒト臨床試験により検討を進め、平成16年〜18年度の3年間で以下の研究成果が得られた。(i)ヒト臨床試験における有効性、安全性の検証重症虚血性心疾患患者2名に対して、自己骨髄細胞由来内皮前駆細胞(CD34+細胞)移植をバイパス術と併用し(ハイブリッド治療)、その有効性、安全性を確認した。今後、さらに症例数を増やして検証を継続する予定である。(ii)内皮前駆細胞動員療法の開発マウスの大腿動脈内膜をワイヤーにて傷害した血管狭窄モデルを作製し、G-CSF投与による骨髄からの内皮前駆細胞動員が狭窄を抑制することを明らかにした。さらに、臨床研究にて、血中CRP値が高い患者では末梢血中の内皮前駆細胞が減少していることを観察し、炎症と動脈硬化との関連についても明らかにした。(iii)内皮前駆細胞投与法の開発傷害心筋および血管平滑筋細胞は糖鎖GlcNAcを特異的に認識するレセプターを発現しており、このレセプターが構造蛋白である可能性を明らかにした。さらに、GlcNAcを利用することにより傷害心血管組織に細胞や薬物を特異的に集積させることが可能であることを明らかにした。
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