研究概要 |
ごく一般的な薬物の使用により、時に心電図QT時間が延長して致死性不整脈を招くことがよく知られており、薬害として世界規模で問題視されている。その機序の解明と防止対策は医療事故を防止する点で緊急の課題である。本申請計画は、(1)薬物誘発性のQT延長の分子機序を解明し、(2)その知見に基づいて創薬のデータベース作りと新薬の安全性に関する臨床QT評価センターを設置すること、を目的とするものである。本年度の実績について項目ごとに述べる。 (1)薬剤誘発性QT延長症候群に対する分子機序の解明:IKrチャネルへの薬剤の相互作用を検討する実験により、典型的なIKr抑制剤であるmethanesulfonanilide系薬物とHERGチャネル(IKrαサブユニット)内の融合部位に関して、親和性が強くIKr抑制の力価の高い薬物(dofetilide,E-4031,MK-499)ではG648,Y652,F656で形成されるチャネル内深部での結合が必要であることを明らかにした。 (2)臨床対策システムの構築:まず、平成16年10月に当研究所内に設置された寄付研究部門(生体情報・解析)と共同して、ICHガイドラインE14にて設定される予定の5msec以内の精度でQT時間計測、測定者、判読者問の誤差についての検証作業を開始した。既存の心電図ホルター解析センターの部署内に新たな人員配置と判読医派遣を計画し、平成17年4月よりの開始に備えた。
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