研究課題
基盤研究(B)
心不全のより根本的治療を確立するためには、是非この情報伝達の最終到達点である核において共通経路を見出す必要がある。代償から心不全への移行における心筋細胞核内情報伝達機構の解明において、申請者は国際的にこの分野をリードしてきた。心筋エンドセリン-1の発現が代償から心不全への移行において亢進し、その遺伝子発現調節にヒストンアセチル化酵素(Histone Acetyltransferases, HAT)活性を持つ転写コアクチベーターp300とGATA転写因子群の協力(p300/GATA経路)が中心的な役割を果たしていること、p300蛋白によりGATA因子がアセチル化されそのDNA結合能が増大すること、液性因子による肥大刺激が心筋細胞においてGATA因子をアセチル化することを見いだした(Mol Cell Biol 2003;23:3593-606)。さらに心筋梗塞後の左室心筋細胞において核の過剰なアセチル化が認められること、トランスジェニックマウスの作成によりp300蛋白を心筋に過剰発現することによりアセチル化を促進すると、心筋梗塞後のリモデリングが増悪し、その増悪にはp300のHAT活性が必要であることを見出した(国際特許出願中、0Circulation 2006;113:679-90)。我々はp300のヒストンアセチル化酵素活性を阻害するLys-CoAが培養心筋細胞肥大を抑制することを見出した(2004年American Heart Associationにて発表)が、Lys-CoAは細胞膜の透過性が極めて低いことから、医薬品として開発するのは困難と考えれられる。そこで、本申請研究では、医薬品の標的となるようなa)p300の上流・下流のシグナル分子同定を行った。また最近、健康食品として使用され天然物ウコンの成分であるクルクミンがp300の特異的アセチル化阻害作用を持つということが明らかになったが、クルクミンが培養心筋細胞肥大を抑制することも確認した。
すべて 2006 2005 2004
すべて 雑誌論文 (8件)
Circulation 113
ページ: 679-690
Journal of Biological Chemistry 280
ページ: 19682-19688
J Biol Chem 280
Circulation Research 94
ページ: 1492-1499
Journal of Biological Chemistry 279
ページ: 37640-37650
Circ Res. 94
J Biol Chem 279