研究課題/領域番号 |
16390231
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
呼吸器内科学
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
秋田 弘俊 北海道大学, 大学院医学研究科, 教授 (70222528)
|
研究分担者 |
木下 一郎 北海道大学, 大学院医学研究科, 講師 (40343008)
山崎 浩一 北海道大学, 病院・講師 (20312358)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2006
|
キーワード | 肺癌 / 分子マーカー / AKR1B10 / EGF受容体遺伝子変異 |
研究概要 |
本研究の目的は、肺癌における臨床的に有用な分子標的治療マーカー、層別化マーカーの開発である。同時に、肺癌における、マーカー分子・遺伝子の分子生物学的・細胞生物学的・病理学的・臨床的意義を明らかにすることにある。 まず、肺癌手術摘出腫瘍を材料にDNAチップを用いた遺伝子発現プロファイル解析からAKR1B1Oという新規診断マーカーを同定した。また、この分子が肺癌のタバコ発癌に関与する可能性も示唆された。 つづいて、臨床的に有用な分子標的治療マーカー、層別化マーカーの開発という本研究の立場から、EGF受容体の遺伝子変異とEGF受容体チロシン・キナーゼ阻害剤の感受性の関係が報告されたことに着目して、EGF受容体の種々のステイタスとEGF受容体チロシン・キナーゼ阻害剤の奏効性の関係を検討した。臨床的に採取された肺癌腫瘍組織を材料として、DNA抽出・精製、PCR増幅を経て、EGF受容体遺伝子変異解析(DNAシークエンス解析)を行った。またEGF受容体遺伝子の遺伝子増幅をFISH法で解析した。その結果、EGF受容体遺伝子変異を一定の頻度で検出したが、腺癌、非喫煙者由来の腫瘍において高頻度に認めた。また、EGF受容体遺伝子変異には同時に変異アレルの遺伝子増幅を伴っている腫瘍が存在することがFISH法による解析によって明らかになった。さちに、EGF受容体遺伝子変異(エクソン19のin-frame deletionおよびエクソン21の点突然変異)陽性の非小細胞肺癌患者を対象にゲフィチニブ投与の第II相臨床試験を行い、75%の奏効率を得た。この前向き臨床試験によって、EGF受容体遺伝子変異(エクソン19のin-frame deletionおよびエクソン21の点突然変異)陽性非小細胞肺癌においては、EGF受容体チロシン・キナーゼ阻害剤によって高い奏効率が得られること、EGF受容体遺伝子変異(エクソン19のin-frame deletionおよびエクソン21の点突然変異)がEGF受容体チロシン・キナーゼ阻害剤治療の有用な分子マーカーになることが示された。
|