1.NK4導入骨髄由来間葉系幹細胞(MSC_S)を用いた新たな肺がん治療法の開発 i)骨髄由来間葉系幹細胞の培養系の確立 マウスの大腿骨・脛骨より骨髄細胞を回収し、液体培地にて培養を行う。雑多な細胞集団の中から大型で多角形の付着性細胞のみを回収・継代する培養系を確立し、高純度のMSC_Sを実験に供する系を確立した。 ii)NK4発現改変型アデノウイルスベクターの作製 MSC_S上にはアデノウイルスのレセプターであるCARが発現していない。しかし、インテグリンの発現は認められるので、ファイバー内にインテグリン結合モチーフを組み込んだ改変アデノウイルスベクターを作製し、MSC_SへNK4遺伝子の導入を行った。現在までに、高力価のウイルスベクターを調整し、MSC_Sへの感染ならびにNK4の高発現を確認した。 iii)腫瘍細胞の肺転移実験系の確立 これまでに、マウスを用いたB16F10 melanoma cellを尾静脈に投与し、肺転移実験系を確立している。 2.HGF導入骨髄由来間葉系幹細胞(MSC_S)を用いた新たな肺線維症治療法の開発 i)HGF発現改変型アデノウイルスベクターの作製 HGFを発現するファイバー内にインテグリン結合モチーフを組み込んだ改変アデノウイルスベクターを作製した。現在、大量調整中である。 ii)MSC_Sの肺障害部位への効率的遊走の確認 マウスの肺線維症モデルであるブレオマイシン誘導性肺障害において、全身性に接種されたGFPトランスジェニックマウス由来MSC_Sが肺の障害を受けた領域に効率的に集積することを確認した。これはMSC_Sが肺障害の修復に加え、障害部位へ種々の分子を運ぶvehicleとして利用できる可能性を示唆するものである。
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