1.CX3CL1およびNK4導入骨髄由来間葉系幹細胞(MSCs)を用いた新たな多発肺転移の治療開発 (1)CX3CL1発現アデノウイルスベクター(AdRGDFKN)を用いた肺転移治療実験 B16F10およびC26を尾静脈より注入することにより多発肺転移モデルを作成したのち、CX3CL1発現MSCを注入したところ、80%以上の肺転移を抑制することに成功した。生存期間も有意に延長した。また、MSCが肺転移巣に遊走することを免疫組織染色で証明した。転移抑制効果はNK細胞とCD8Tリンパ球によるものであることを示した。現在、Stem cells誌in pressの状態である。 (2)NK4発現アデノウイルスベクター(AdRGDNK4)を用いた肺転移治療実験 同様に、NK4発現MSCを投与したところ、有意な肺転移巣の減少と、生存期間の延長を確認した。治療群では、CD31とVEGFR3陽性細胞数の減少より、血管新生の抑制とともにリンパ管新生の抑制することにより転移抑制されることを示した。現在、Cancer gene therapy誌、revisionの状態である。 2.HGF導入骨髄由来間葉系幹細胞(MSCs)を用いた肺線維症治療法の開発 (1)MSCsの肺障害部位への効率的遊走の確認 マウスの肺線維症モデルであるブレオマイシン誘導性肺障害において、全身性に接種されたGFPトランスジェニックマウス由来MSCsが肺の障害を受けた領域に効率的に集積することを確認した。また、肺傷害の程度を生化学的手法であるハイドロキシプロリンとアシクロフトスコアで評価する方法を確立した。 (2)MSCを用いた傷害肺治療実験 骨髄由来MSCを、傷害肺を持つマウスの静脈内に投与したところ、傷害肺の有意な改善を確認した。現在、HGF発現MSCを用いた治療実験を継続中である
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