研究課題
1)両親の異なる2種類の、SV40ラージT抗原および活性化rasを導入されたDnmt3b^<-/->および対の野生型のMEFに、レトロウィルスベクターであるpBabe/bleomycin単独、あるいはDnmt3^<-/-> MEFに対してはマウスDnmt3b1、3b2あるいは3b3を組み込んだものを同時に細胞に感染させ、phleomycinを用いて選定することにより、各spliced formのDnmt3bを有するMEFを作成した。これらのMEFを用いて、通常培養プレート上での細胞増殖、および0.3%ソフトアガロース内でコロニー形成能、さらにヌードマウスでの腫瘍形成能を比較検討する予定であったが、今後の検討課題として残った。2)癌化させたNHBE細胞に対して、各spliced formの役割を個別に評価するために、各spliced formにだけ含まれるsequenceに対する2本鎖のRNAオリゴヌクレオチドを用いて、RNA interference (RNAi)の原理により、すべてのDNMT3b、DNMT3b1/3b2のみ、あるいはDNMT3b3のみを特異的にノックアウトした。特異的にノックアウトされたかどうかを各spliced formにだけ含まれるsequenceから設計したプライマー・プローブを用いて、定量的PCRにより確認した。これらの細胞を用いて、0.3%ソフトアガロース内でコロニー形成能を比較検討することにより、DNMT3bに対する阻害剤のスクリーニングを行う上で、いずれのspliced formに対してスクリーニングを行えばよいか明らかにする予定であったが、今後の検討課題として残った。3)ヒトDNMT3b1および3b3を組み込んだバキュロウィルスベクターを用いてヒトDNMT3b1および3b3タンパクを精製し、いずれにもde novoメチルトランスフェラーゼ活性があることを確認した。今回、研究代表者の転勤により、本研究は交付後薬約3ヶ月で計画を廃止することになったため、本研究においては研究の目的を達することができなくなった。上記の検討は今後の研究を推進するための基礎研究であった。