研究課題
本研究は、切除不能・放射線照射不能のIIIB/IV期非小細胞肺癌の治療成績の向上を目的とし、標準的治療であるプラチナを含む2剤併用化学療法後にゲフィチニブを維持療法として投与する治療法の有効性を検討する多施設共同無作為化比較試験を行い、それに付随してトランスレーショナル・リサーチ(TR)を実施することとした。TRの内容はゲフィチニブ投与症例において、腫瘍組織でのヒト上皮成長因子受容体I、II(EGFR、HER2)、そのリン酸化レベル(pEGFR、pHer2)、及びインスリン類似成長因子I受容体(IGF-IR)の発現量を免疫組織染色で解析し、EGFRの遺伝子変異も検索して、それぞれ奏効度、生存との相関を検討することとした。切除不能IIIB/IV期非小細胞肺癌未治療例、75歳未満で文章同意が得られた症例を対象とし、組織型、病期、性、化学療法の内容、PS、施設を動的割付因子として化学療法群(A群)と化学療法+ゲフィチニブ維持療法群(B群)に割り付け600例を集積することとした。化学療法の内容はパクリタキセル+カルボプラチン(PC群)、ドセタキセル+シスプラチン(DP群)、ゲムシタビン+シスプラチン(GP群)、イリノテカン+シスプラチン(IP群)、ビノレルビン+シスプラチン(VP群)の中から担当医が選択する。A群は化学療法を最低3サイクル以上、最大6サイクルまで投与しPDになるまで後治療を加えない。B群は化学療法を3サイクル施行後、有効(CR、PR)および不変(SD)症例に対し、ゲフィチニブ250mg/日をPDになるまで投与した。本試験は、平成15年3月より平成17年5月に604例(A群302例、B群302例)の症例を集積し終了した。604例の背景因子は、組織型:腺癌475例、腺癌以外129例、病期:IIIB 114例、IV:490例、性:男384例、女218例、化学療法の内容:PC群392例、DP群16例、GP群89例、IP群18例、VP群89例となっている。TR試験には100例の腫瘍検体が登録され、途中解析では、pEGFRの発現度、EGFRの遺伝子変異と奏効度が相関している。これらの解析により、奏効度、予後の予測因子を示すことができるものと期待している。
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