研究課題
基盤研究(B)
無機リン酸(以下リン)は生体エネルギー代謝、細胞膜の構成成分あるいはカルシウムとともに生体機能維持に必須のイオンである。我々は、脳室と腎近位尿細管を中心とした、リン調節系を担う新たなリンセンサー蛋白(type IIc Na/Pi cotransporter)とその下流の存在するホルモン群(FGF23,klotho, MEPE etc)の生理作用を明らかにすることで、新しいリン代謝系を司るネットワーク分子のシグナル伝達系とカルシウム/リン積の制御機構を検討した。その結果、平成17年度には次のような成果が得られた。1)小腸上皮細胞には、食事中のリン含量を感受して、リン摂取量や腎臓でのリン排泄を調節するリンセンサー(小腸型)が存在する。我々は、脳室型リンセンサーの膜貫通モチーフおよびリン応答領域(推定)をベースに、ESTサーチ行い、候補遺伝子を2種類獲得した。これらの遺伝子は、type II Na/Pi family(SLC34)に属するが、type IIcのスプライシングバリアントであった。これらは、骨芽細胞や破骨細胞にも存在した。また、アフリカツメガエル卵母細胞を用いて、本クローンの機能解析を行うと、リン感受機構が見られた。2)FGf23は腎尿細管に作用し、ビタミンD水酸化酵素および腎尿細管リントランスポーターに作用し、カルシウム・リン濃度を低下させた。3)カルシウム・リン積の制御機構の中心であるFGF23の血中リン濃度抑制機構は、type IIaNa/Pi contransporterおよびリンセンサー蛋白(type IIc Na/Pi contransporter)の発現抑制であることを明らかにした。4)FGF23によるビタミンD水酸化酵素の制御には、ビタミンD受容体を介するシステムと非依存性のシステムを分類された。5)klothoは、FGF受容体に作用しFGF23の機能を調節する蛋白作用を明らかにした。6)FGF23の受容体は、klothoと複合体を形成していることが明らかになった。以上より、リンセンサー蛋白とFGF23は、生体のリン/カルシウム積を調節する重要な因子である可能性を明らかにした。
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