上皮型Naチャネルを活性化するセリンプロテアーゼであるプロスタシンは原発性アルドステロン症患者の尿中に多量に排泄され、副腎腫瘍の摘出により高血圧の改善とともに尿中プロスタシン排泄量が減少している。この高血圧におけるプロスタシンの役割を検討するためには抗体による抑制実験が重要であると考え以下の検討を行った。 初年度までにウサギ抗ペプチドポリクローナル抗体15種類およびマウス抗プロスタシン組換えタンパクモノクローナル抗体4クローンを作成した。これらの抗体の機能解析を種々の観点から行ったところ1つのポリクローナル抗体がプロスタシンの活性を阻害することが明らかとなった。この抗体はヒトプロスタシンのペプチド配列をもとに作成したものであったが、ラットプロスタシンの活性も阻害することが判明している。この抗体の抗原ペプチドのアミノ酸配列の中でラットプロスタシンの配列と共通した配列が連続した9アミノ酸として存在しているため、この9アミノ酸に対する抗体がプロスタシンの活性阻害に働いている可能性が考えられた。この9アミノ酸に対するモノクローナル抗体を大量に作成し、プロスタシンの活性阻害の詳細について検討した。この抗体を用い、ヒト高血圧患者150例で、尿中のアルドステロン濃度と尿中プロスタシン濃度の関係について検討したところ、有意な相関関係が認められた。 現在、純粋な組換えプロスタシン蛋白質を用いてさらに詳細な検討を行っている。
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