研究課題/領域番号 |
16390247
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
栗原 秀剛 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80311976)
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研究分担者 |
坂井 建雄 順天堂大学, 医学部, 教授 (90114488)
市村 浩一郎 順天堂大学, 医学部, 助手 (10343485)
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キーワード | 糸球体 / 足細胞 / 蛋白尿 / 細胞培養 / スリット膜 / PCR / ネフローゼ |
研究概要 |
足細胞は神経細胞と同様に終末分化細胞であり、足細胞の機能不全はすぐさま糸球体濾過に影響を及ぼし、蛋白尿の原因となる。本研究においては、新規ネフローゼラットと不死化足細胞株の特徴づけを行い、それらを用いて疾患に伴って変化する蛋白を見いだしてその発現制御について検討を進め、足細胞特異的なネフローゼモデルを開発して治療薬開発に役立てることを目的としている。本年度は次のことを明らかにした。1)新規ネフローゼラットの腎組織形態は4週齢まではほぼ正常であるが、離乳期の5週に入ると蛋白尿を発症し、組織の急激な変化が皮質の最表層に近い部分から起こることを見いだした。2)ネフローゼラットの糸球体にどのような変化が起こるかについて、ラットの糸球体に発現している蛋白(血管内皮細胞、メサンギウム細胞および足細胞に発現しているもの)を網羅的に解析し、ネフローゼラットにおいて発現が変化している蛋白を精査した結果、足細胞のスリット膜関連蛋白の発現低下が顕著であることを見いだした。また、ネフローゼラットの糸球体足細胞では、通常では見られないS期にある細胞が数多く見いだされたことから、細胞増殖のシグナルが活性化された状態にあることが分かった。3)培養細胞を用いた実験から、細胞増殖がさかんな時期にはスロット膜関連分子(ネフリンなど)の発現が低下していることも明らかとなり、足細胞の分化状態を反映するスリット膜分子は細胞増殖の停止に伴い発現が上昇し、また、細胞増殖中は低下していることが分かった。 以上のことからネフローゼの原因として細胞増殖制御の異常が示唆された。
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