研究課題
基盤研究(B)
パーキンソン病の再生医療として、もし神経幹細胞が障害部位である黒質において存在するのであれば、神経栄養因子などを用いて、それを活性化することにより治療が可能である。我々は、まずそれを確認するために改変したレトロウイルスベクターを用いて動物モデルで探索した。さらに、神経幹細胞や未熟な神経細胞を検索すべく動物モデルやパーキンソン病の剖検脳を用いて検討した。黒質に神経幹細胞は存在しなかったが、未熟な細胞群を発見し報告した。この細胞群は一部がドパミン神経細胞に分化しており、その細胞増殖、分化を促進させることが有効な治療法になりうることを示した。この発見はAnn Neurol.58(1):31-40,2005に発表。ロイター通信(2005.7.22)、読売新聞(2005.7.26)毎日新聞(2005.8.15)で紹介された。次に大阪大学、船越先生と共同研究で、肝細胞増殖因子すなわちhepatocyte growth factor(HGF)をパーキンソン病モデル脳内に持続投与することで治療法になりうるかにつき検討した。HGFは肝臓の最も強力な再生因子で、これまで多くの研究者によって基礎研究が進められ、抗アポトーシス作用や抗線維化作用といった多彩な作用も明らかにされている。この仮説を証明するべく、まずMPTPを用いてパーキンソン病モデルサルを作成。持続投与ポンプを用いてHGFを持続投与し、臨床症状およひ病理学的評価を行った。残念ながら臨床症状は、ビデオ撮影により評価したが治療前後での改善は認められなかった。病理学的評価は、TH陽性細胞について検討したがやはり、治療の前後での改善は確認できなかった。今後は、HGF以外の神経栄養因子などの治療効果につき同モデルで検討する予定である。(743文字)
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