研究課題
代謝症候群の基盤病態としての脂肪組織機能異常症に焦点を当て、細胞内グルココルチコイド活性化酵素、11β-HSD1の脂肪細胞、マクロファージにおける活性調節メカニズムを中心に検討した。肥満の脂肪組織は低酸素や異栄養、炎症、酸化ストレス、小胞体ストレス、脂肪毒性など種々の代謝ストレスに暴露されていることが注目されていることから本年度は3T3-L1脂肪細胞(前駆脂肪細胞および成熟脂肪細胞)、マウス由来マクロファージ細胞株、J774.1細胞を用い、炎症性サイトカインやLPSなどの炎症シグナル、血清除去、セラミドシグナル、AMPKシグナルの活性化に対する細胞応答における11β-HSD1の制御機構を解析した。その結果、脂肪細胞におけるセラミドやAMPKシグナルの活性化、ならびにLPSによるマクロファージ活性化が11β-HSD1の酵素活性や遺伝子発現を著明に亢進させ、細胞機能異常や向炎症的形質を獲得することを新規に明らかにした。また、ChIPアッセイ等により細胞ストレスによって誘導される11β-HSD1の制御に転写因子、C/EBPβが関与することを初めて明らかにした。更に、11β-HSD1に阻害効果を有するカルベノキソロンや2種類の低分子11β-HSD1阻害化合物(BVT-3498(Biovitrum, Sweden)とWO03/065983(Merck)を用いた11β-HSD1の薬理学的阻害がTNF-αやIL-1α,MCP-1などの炎症性サイトカイン、ケモカインの発現と分泌を有意に抑制することが明らかとなった。この結果は活性化マクロファージにおける11β-HSD1が向炎症(pro-inflammatory)に作用していることを示唆するものである。
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すべて 雑誌論文 (6件)
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