研究概要 |
1.グルココルチコイドレセプター(GR)リガンド結合領域(LBD)のコルチバゾールCVZ結合様式を立体構造との関連から明らかにした。CVZはGR LBDのC末端欠失変異体にも安定に結合した。また,コンピューター解析によるCVZ-GR LBD複合体モデルにおいて,CVZは,DEX-GR LBDのX線結晶解析で示されたリガンド結合ポケット構造を変化させる可能性が示唆された。 2.CVZ特異的にAF-1転写活性化領域と相互作用する転写共役因子の存在が示唆された。もう一つの転写活性化領域AF-2の影響を排除可能なGR LBDのC末端欠失変異体を作成し、GSTあるいはGAL4 DNA結合領域の融合蛋白を作成してHeLa細胞核抽出液を用いたGST-pull down法により,CVZ特異的GR結合蛋白の候補を得た。 3.FLAGタグ融合HEXIM1発現組換えアデノウイルスおよび、HEXIM1特異的siRNA発現組換えアデノウイルスを作成した。これらのウイルスは初代培養を含めた多くの細胞種および動物個体にほぼ100%の効率で遺伝子導入が可能で、しかも、Cre-loxP系による発現調節を受けるよう設計されており、GRのHEXIM1による機能調節を細胞内で解析するツールとして極めて強力なものであることを確認した。これらのシステムを活用して、GRの細胞内局在、転写活性化能に与えるHEXIM1の作用を明らかにした。 4.GRとHEXIM1の相互作用に必要なアミノ酸領域を同定した。細胞内では、GRの核内における局在がHEXIM1の発現によって著明に変化することが観察された。GRの核内局在の変化とその機能の関連を、GRの変異体、各種融合タンパク質などを用いて、レポーターアッセイ、RT-PCR法などにより解析した。
|