研究課題/領域番号 |
16390271
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
児島 将康 久留米大学, 分子生命科学研究所, 教授 (20202062)
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研究分担者 |
西 芳寛 久留米大学, 分子生命科学研究所, 助手 (20352122)
花田 礼子 久留米大学, 分子生命科学研究所, 助手 (00343707)
佐藤 貴弘 久留米大学, 分子生命科学研究所, 助手 (50368883)
寒川 賢治 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 部長 (00112417)
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キーワード | グレリン / ニューロメジンU / 摂食調節 / 肥満 / 脂肪酸 / 骨代謝 |
研究概要 |
1、ニューロメジンU欠損マウスの表現系解析 ニューロメジンU(NMU)は平滑筋収縮、摂食抑制、ストレス反応の制御などを示す多機能な神経ペプチドである。NMUの摂食抑制作用を詳細に検討するためにわれわれは昨年度NMU欠損マウスを作製し、本年、その解析を行った。NMU欠損マウスは肥満となり、その原因としては過食、エネルギー消費量(運動量、酸素消費量)の減少、基礎体温の低下、熱産生能不全などによるものと思われた。NMUの摂食抑制作用はレプチンとは別のシグナル伝達経路でコントロールされていることが明らかになった。さらにニューロメジンU欠損マウスでは痛みに対しての感受性が低下している、すなわち痛みを感じにくいことがわかった。 2、グレリンの脂肪酸修飾基に対する摂取脂肪酸の影響 グレリンは脂肪酸(メインはオクタン酸)で修飾されており、この修飾基が活性発現に必要である。摂取した脂肪酸がグレリンの修飾にどのように影響を与えるのか検討した。その結果、摂取脂肪酸の炭素数に応じた炭素数の脂肪酸で修飾されたグレリン濃度が増加した。また、生体には存在しないし、かつ食物中にも存在しない奇数の炭素数(7個)の脂肪酸であるヘプタン酸を摂取させた動物では、ヘプタン酸で修飾されたグレリンが産生された。脂肪酸摂取によって総グレリン濃度は変化なかった。この一連のエレガントな実験によって、摂取した脂肪酸がグレリンの脂肪酸修飾に直接使われることが明らかになった。 3,グレリンの骨作用 摂食調節ホルモンと骨代謝との関連は、摂食抑制ホルモンのレプチン投与によって骨密度が低下することなどが知られていたが、グレリンと骨代謝との関連は不明だった。われわれはグレリン投与によって骨芽細胞が分化・増殖を起こすこと、また骨密度を増加させることを明らかにした。この作用は成長ホルモンを介さずに、グレリンの直接作用によるものであることを、成長ホルモン欠損ラットの実験で証明した。この研究結果からグレリンの骨粗鬆症などへの応用が考えられる。
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