研究概要 |
平成17年度は16年度におけるmKirreの基本的な生理学的機能の解析に引き続き、mKirreノックアウトマウスの作成を行った。まずmKirrecDNAをプローブにしてBACライブラリーをスクリーニングし、mKirre遺伝子を含むBACクローンを単離した。BACクローンおよびマウス遺伝子データベースをもとにmKirre遺伝子座の制限酵素マップを作成、これをもとにmKirre遺伝子のプロモーター領域および第1エクソンをneomycinカセットで置換するようにターゲティングベクターをデザインし作成した。このようにして作成したターゲティングベクターをE14 ES細胞にエレクトロポレーションで導入、得られたneomycin抵抗性クローンの中から相同組み換え体をサザンブロットにより選別した。これにより、5‘側および3'側のプローブそれぞれにおいて陽性の相同組み替えクローンを1クローン得ることができた。このクローンについて、さらにネオマイシン遺伝子をプローブにしてサザンブロットを施行し、予想されるサイズのバンドがでることを確認した。このクローンをC57BL/6マウスのblatcystにインジェクションし、キメラマウスを作成中である。 また、ISFを強発現した骨髄ストローマ細胞株MS10,PA6が造血幹細胞(HSC)の支持能を増強するメカニズムを、cDNAマイクロアレイを用いて解析した。MS10の親株とISFを強発現したMS10(MS10/ISF)で遺伝子発現パターンを比較し、ISF強発現により、TIMP-3およびSFRP-1の発現が低下していることを見いだした。さらにMS10/ISFにおいてTIMP-3,SFRP-1の発現を人為的に回復させると、HSC支持能が親株と同レベルにまで低下することを確認した。以上より、ISFによるHSC支持能増強にはTIMP-3,SFRP-1の発現低下が関与していることが強く示唆された。
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